警備業のコスト構造において、人件費こそが主たるコストです。最低賃金が毎年上がり、保険料率もさらに上がるとなれば、「もう少し人を採る」だけでは、いつまでも続けられる道ではありません。
二つの圧力が、同時に警備業にのしかかる
三立財経テレビのこの報道は、問題を率直に示しています。企業は人手不足と賃上げに同時に直面している、と。前者はシフトを埋められなくし、後者は一勤務あたりのコストを押し上げます。警備業では、この二つが重なる感覚がとりわけ鮮明です——私たちが提供しているのは、人と時間そのものだからです。
華辰セキュリティの艾祥文協理は、取材でこの状況をこう語りました。
人手不足については、求人サイト広報副マネージャーの楊宗斌氏の見方も紹介されました。最低賃金の改定後、時給のアルバイトを二つ掛け持ちするほうを選ぶ人もおり、オフィスでの正社員の職を選ばないというのです。つまり足りないのはお金だけではなく、労働供給そのものの構造が変わっているということです。
人を減らすのではなく、「見る」仕事をまず機械に一巡させる
報道はつづいて華辰の管制センターに入ります。記者はナレーションでこの手法の核心を説明しました——既設の監視カメラに AI 巡回を組み込むことで、企業やマンションは人員を増やさずとも、誰か(正確にはシステム)が見ている状態を保てる、と。
鍵になるのは「既設」という言葉です。この方式は、マンションや企業にカメラの総入れ替えを求めません。既存のカメラも、配線も、録画装置もそのまま残し、AI はその上に重ねる判読の層にすぎません。コストを抑えられる理由もここにあります。
システムはスケジュールに従ってカメラを一台ずつ巡回し、各ポイントのその時点の状態を記した巡回記録を一件ずつ生成します。
正常と判読された巡回は誰も煩わせません。異常のみが管制センターと管理部門に通知されるため、担当者が無意味な警報に埋もれずに済みます。
24時間管制センターの担当者が映像を再確認し、現場の状況を確かめたうえで、通知・出動・通報のいずれかを判断します。ラストワンマイルは今も人です。
報道のカメラは実際の運用画面も捉えています。画面には巡回記録が一行ずつ並び、物件名、ポイント(車路のシャッター、21番ゲート)、カメラ番号に続いて判読結果が表示されています。記者のナレーションはこのリストの意味をこう説明しました——すべて正常と表示されていれば、その日の現場は何事もなかったということだ、と。
もう一つのカットは、スマートフォンに表示された AI の判読レポートでした。システムは、画面が工事現場であること、中央に青いトラックが停まっていること、背景に足場と施工中の構造物が見えることを記述し、画面内に人は確認されないと指摘しています。これが現在の AI 映像判読と、かつての「画面に人がいるかどうか」との違いです——返ってくるのは、読めて、証跡として残せて、後から遡れる現場の記述なのです。
答えは「無人化」ではなく、「無駄な時間を減らすこと」
報道の後半は小売と飲食に目を向けます。セルフレジ、配膳ロボット、自動注文——企業は自動化で人件費を下げています。警備業の事情は少し違います。私たちは「無人化」できません。警報は人が判断し、現場には人が行き、責任は人が負うからです。
ですから私たちの手法は、人を置き換えることではなく、反復的で成果の薄い仕事から人を引き上げることです。かつては一人で数十分割の画面を見続け、その大半の時間は何も起きませんでした。いまその時間は AI に委ね、担当者は本当に判断と対応を要する事案に集中します。
この転換がお客様にもたらす意味は具体的です。マンションや企業は「夜間も見ていてほしい」というだけの理由で常駐一勤務分を長期に負担する必要がなくなり、それでも夜間は見られている状態が保たれます。そして私たち自身の社員にとっての意味は、シフトが組めるということです——人手不足の環境では、これも同じくらい重要です。
導入を検討されている方へ
- まず既設設備が使えるか確認する——カメラの位置・画角・画質が判読に足りるかどうかで、追加投資の要否が決まります。多くの場合、既設のままで足ります。
- 異常を誰が引き受けるのかを確認する——AI が異常を検出したあと、どこに送られ、誰が当直し、何時から何時まで人がいるのか。ここが警備サービスと単なるソフトウェアライセンスの違いです。
- 記録を後から見られるようにする——各巡回の時刻・ポイント・判読結果を後日参照できることは、管理組合にとっても企業にとっても責任の所在を明らかにするうえで有効です。