台湾の建築物の大多数は、既存・中小規模・予算に限りがあるものです。カメラはすでに数多く設置されているのに、ほとんど誰も見ていません。今年の展示会で私たちが答えたかった問いは一つ——すでに建っているこれらの建物は、壊さず入れ替えずに AI の恩恵を受けられるのか。
ブーステーマ:既存建築のスマート化運用、見える × 分かる
スマートビルの議論は、新築案件・十分な予算・プロジェクト導入を前提にしがちです。しかし実際のマンションや工場に足を運ぶと、条件は違います。築 20〜30 年、設備はすでに導入済み、IT 部門はなく、管理費は据え置き、夜勤要員は採用できず、採用できてもコストが合わない。
そこでブースのメインウォールには「既存建築のスマート化運用、見える × 分かる」を掲げ、解決したい 3 つの課題をそのまま併記しました。
- 採用がますます難しい——夜勤要員は採用できず、コストも見合わない。
- 数十台のカメラは見きれない——一人で数十チャンネルを監視すれば、重要な数秒を見逃す。
- 従来型 AI は動きがあれば通報——誤報が多すぎて、最後には切られてしまう。
ソリューション 1 · 見える:AI 鷹眼クラウドパトロール隊
マンション・オフィスビルの夜間セキュリティ向けです。云辰グループ自社開発の AIoT ワイヤレススマート警備機器を基盤に、センサーが火災・煙、侵入、緊急通報を 24 時間検知。警報発生と同時にシステムが現場映像を自動で呼び出して裏付けを取り、24 時間コントロールセンターの担当者が現場状況をリアルタイムで判読し、作業標準に沿って対応・通報します。目指すのは夜間のスマート減員でも安全レベルは下げないこと。人員と予算のバランス点を見つけるための選択肢です。
ソリューション 2 · 分かる:AI 鷹眼映像巡回プラットフォーム
すでに監視システムはあるが、見る人がいない現場向けです。最新の VLM(視覚言語モデル)技術を導入し、物体を認識するだけでなく、画面全体で何が起きているかを読み取ります。毎日スケジュールに沿って自動映像巡回を実施し、検知ルールは自然言語で設定。AI がコマ単位で判読し、本当の異常のみを通知します。枠付きの証跡映像を保存して監査に対応し、巡回記録とレポートはワンクリックで出力、警報はスマートフォンや LINE へ即時配信されます。
従来の映像認識
- 「人・車・動きの有無」しか答えられず、枠を出すだけ
- 画面全体で「何が起きているか」は分からない
- 動きがあれば通報。正常と異常を区別できず誤報が多い
- 新しい種別の追加には再アノテーションと再学習が必要
VLM 視覚言語モデル
- 画面全体を読み取り、自然言語で状況を説明
- 時間・在室の有無・環境など複数条件を組み合わせて判断
- 文脈を区別:同じ映像でも正常か異常かを見分ける
- 新ルールは「話し言葉」で記述するだけ。再学習は不要
ブースに掲示した 3 枚の実例写真は、まさに従来の映像認識では対応できない検知範囲を示すものでした。「深夜に人がいないのに照明が点いている」は複数条件の同時判読が必要であり、「消防通路に物を置いてはいけない」は誰かが物を積んだ状況の理解が必要、「マンションのペットは地面に降ろさない」はリードを外して降ろした時点で通知します。いずれも「人がいるか」だけでは答えられません。
実機展示:AIoT ワイヤレススマート警備機器
ブース左側は、実際に触れられる実機エリアです。ワイヤレス警備コントロールパネル(ネットワーク+4G デュアルバックアップ、予備バッテリー、内蔵警報器、ワイヤレス回線 20 組+有線回線)、ドア・窓センサー、赤外線センサー(ペット誤報対策)、非常ボタン、屋内音声警報器、NFC 警備カードリーダー、そして消防信号をパネルへ転送する防災信号レシーバー。無線伝送は U-Net 5.0 技術を採用し、伝送距離は最大 1 km——配線工事不要、内装を傷めないことが、既存建築でのスピーディな警備開始を可能にします。
スマートエコシステム:一つのブースに、一本のサービスチェーン
ブース右側では、当社のパートナーネットワークとグループ資源をご紹介しました。グループ子会社の樺辰スマート不動産管理は、スマートビル運営管理の初期計画段階からスマートロッカーやスマート巡回点検システムなどの要素を導入します。通泰科技はスマートセキュリティと不動産テックの統合システムの開発・設計・販売を担当。エコシステムパートナーには鋭能スマートテクノロジー(マンション向け EV 充電ワンストップサービスと EMS エネルギー管理)、正徳防火(PADTEX EV 用防火ブランケットと可動式収納ボックス)、凱楽斯(台湾初の GMP 認証取得の国産 AED メーカー、IoT クラウド管理対応)が名を連ねます。
基調講演:見えるから、分かるへ
会期中、華辰セキュリティ企画開発本部 高御恆協理が主催者の招きにより登壇し、基調講演「見えるから、分かるへ——既存建築のサステナブルなスマートセキュリティ・アップグレード」を行いました。
1. 従来型セキュリティが抱える 3 つの構造的課題
講演は業界の現状から始まりました。警備員不足と高齢化——人材確保は年々難しくなり、コストは上昇。夜勤や多拠点は慢性的な欠員です。人が画面を見続けることの限界——一人で数十チャンネルを監視すれば注意力は急速に低下し、「設置している」ことは「見ている」ことと同義ではありません。リアルタイムではなく事後の確認——映像の大半は事故後に初めて掘り起こされ、そのときには損失はすでに発生し、録画は裏付けにしかなりません。
「ビル、マンション、工事現場、工場——カメラはすでにどこにでもある。しかしその映像のほとんどは、誰にも見られていない。」
講演パート:現状
2. 同じ照明でも、正常か異常か
講演で最も具体的だった対比です。深夜 3 時、人がいて照明が点いているなら、残業や作業中であり照明は妥当。記録だけ残し、通知はしません。同じ深夜 3 時でも、人がいないのに照明が点いたままなら、エネルギーの無駄や消し忘れの可能性があり、通知すべき状況です。
従来型 AI の難しさは、「人がいるか」と「照明が点いているか」を別々にしか見られない点にあります。「時間+在室の有無+照明の状態」を結びつけて判断できないため、誤報が続くか、まるごと見逃すかのどちらかになります。VLM なら一つのルールで状況全体を表現できます——「深夜に人がいないのに照明が点いていれば異常とみなす」。AI はこの文脈に沿って自動的に判断します。
3. 管理規程を、そのまま検知ルールに
- 自然言語でのルール設定——「消防通路に物を置かない」「従業員は管理区域で喫煙しない」と書けば、AI はその通りに検知します。
- 複数条件の組み合わせ——「閉店後、店内に人の動きがあってはならない」「就業時間帯にヘルメット未着用なら違反」など、時間帯と属性を掛け合わせます。
- 状態型のスマート重複排除——同じ違法駐車車両は一晩に一度だけ通知。巡回ごとに繰り返さず、移動すれば自動でクローズします。
- 在室を踏まえた行動判断——人がいるときは特定のルール(「消灯すべき」など)を自動で無効化し、通常業務を妨げません。
現在の主な検知パターンは、人員・侵入、車両、労働安全(ヘルメット未着用、反射ベスト未着用)、環境異常(炎、煙、床面の水たまり、ドアやシャッターの閉め忘れ、照明異常)、現場違反(喫煙、紙銭の焼却、ペットのリード未装着)、暴力事案、行動分析(転倒、うろつき、走行、よじ登り、集合)、および完全なカスタムルールをカバーします。各ルールにはエリアと時間帯を追加設定できます。
4. AI が引き受けるのは、反復的で消耗する夜間の業務
講演では、誤解されやすい立場を明確にしました。AI は警備員を置き換えるものではありません。定時夜間巡回、モニター監視、手書きの巡回記録、巡回・月次レポート作成といった反復業務を引き受けます——スケジュールに沿って全カメラを自動巡回し、コマ単位で判読して異常のみを通知、画像と文章を含む記録を自動で残し、スマートフォンや LINE へ即時配信、レポートはワンクリックで出力。こうして人は人の判断と対処が必要な業務に集中できます。
5. 技術だけでなく、警備品質の運用プロセス
技術に加え、当社コントロールセンターの 3 つの運用設計も説明しました。事案 SOP チェックリスト(火災は 119、侵入は 110 への通報を含み、各ステップを担当者名と時刻付きでチェック。対応品質を監査可能に)、日次引き継ぎレポート(07:30 に前日の巡回・事案・通信断の機器・当日の注意事項を自動集約)、警報の自動集約(同一状態は 1 日 1 件にまとめ、対応済みのものは再通知しない)。警報は意味があってこそ、真剣に扱われます。
居住者・オーナー側には、安心カレンダー、LINE 即時通知、事案の証跡映像、閲覧可能な巡回記録をご提供し、サービスの価値が見えないままにならないようにしています。
6. 最もサステナブルなアップグレードは、何も捨てないこと
100%
既存設備をそのまま活用
カメラ・レコーダー・配線はすべて交換不要。電子廃棄物ゼロ、二重投資ゼロ
工事ゼロ
配線工事なし、内装への影響なし
稼働中の建物への干渉ゼロ
オンデマンド
スケジュールと警報時のみ AI 演算を実行
24 時間の全量アップロードは行わない
これが、本展示会の「サステナブル・スマートビル」というテーマに対して当社が提示したい視点です——スマート化の入口は「設備の入れ替え」から「クラウドへの接続」へ変えられる。既存建築にとって最も環境に優しいアップグレードは、往々にして何も捨てない方法です。
「AI は、大企業だけのものであるべきではない。すでに建っている一棟一棟に AI を届けること——それが華辰がこれから取り組むことです。」
講演の結び:私たちの理想
4 日間の会期、現場で交わした会話
ブースの前に長く立ち止まってくださった方ほど、質問は具体的でした。管理組合の理事長からは夜間減員後に警備品質をどう保つのか、工場総務からは消防通路の物品放置を自動で検知できるのか、不動産管理会社からは巡回記録をそのまま月次レポートにできるのか。実機の前で、ワイヤレス警備パネルが配線工事なしで警備を開始できることを初めて知った、という方も少なくありませんでした。
こうした対話を通じて確信したことがあります。市場が求めているのは、より華やかな技術用語ではなく、明日から始められて、今夜には結果が見えるやり方だということです。